サラリーマンの僕とパチンコ
サラリーマンになってからの僕はさらにパチンコにのめり込んだ。
もちろん学生のころよりも時間の融通は利かなくなってが、それでも僕はパチンコがもっともっと大好きになっていった。
休みの日は、朝の7時になると自然に目が覚めた。
会社のある平日なんて目が覚めても、5分の余裕があればまた布団に潜り込んでいたのに休みの日は違った。
もちろん、パチンコがあったからである。
10時になるとパチンコ屋へ行き、遅いと閉店までパチンコ台と向き合っていた。
友人の数が多いとは言えない僕でも、休みの人ともなると友人から飲み会や遊びに誘われることがあった。
しかし、僕の中での優先事項はいつでも「パチンコ」であった。
なんかしらの理由をつけ、その誘いを断ることが多かった。
本来は仕事に打ち込むべき、新人時代の僕はひたすらパチンコ台と向き合った。
仕事が終われば、パチンコ屋へ直行。
仕事は比較的忙しい会社でみんなが残業をするという空気が当たり前であった。
もちろん、僕もその空気に逆らうことはしなかった。
20時に会社を出られたら、ラッキー。
閉店までの2時間くらいはパチンコを打てる。
21時に会社を出られたら、
今日は1時間しかパチンコを打てないな。
22時に会社を出た日があった。
さすがに今日は時間がないな・・・・
とはいかない。
どうしてもパチンコが打ちたい。1回でいいからあたりを見たい。
そんな欲求が僕をパチンコ屋へ走らせる。
店についたのは22時40分。22時50分で店は閉店になる。
慌てて千円札をパチンコ台へ投入する。
数回転で当たりを引く、運よく確率変動に入る。
しかし、それを消化する時間すらない。
結局、確率変動を残したまま、店員が近づいて閉店を告げられる。
くやしい思いはもちろんあるが、それよりも当たりを見られた充実感。
完全に依存症が出来上がった。
次第に僕は会社に嘘をつくようになった。
営業に行くといい会社を出る。
ホワイトボードには1時間遅めの帰社時間を記入する。
用事を済ませ、うその1時間を消化するためにパチンコ屋へ向かう。
さらに状況はひどくなる。
嘘の訪問先を記入し、パチンコ屋へ向かうことが当たり前になる。
はじめは罪悪感のようなものを少しは抱えていたが、しだいにそういった気持ちも薄れていく。
数時間もパチンコ屋へ入り浸り、たばこの煙まみれになった僕のその匂いをさせたまま夕方何事もなかったかのように会社に戻り、仕事をしているフリをする僕。
もしかしたらその匂いで気づいている人はいたかもしれないな。